お膳(外黒内朱)の修理

お膳の漆器修理前
お膳 修理前

お膳の隅

お膳の破損箇所
お膳の隅 破損箇所

依頼品には全体的に細かな傷や打ち込みがあり、そして所々に大きな亀裂が見受けられます。

この亀裂は木地の継ぎ目から出ているようです。

亀裂を埋めた後、全体を塗り直します。

 

お膳の漆器修理
お膳の隅 傷を埋める

亀裂の箇所は下地漆を付けただけでは後でまた出てきてしまいます。

その為まず亀裂を彫り、そこに接着剤と木粉で傷を埋めます。

これで上塗りの後、亀裂の跡が出てくることはありません。

 

お膳の漆器修理
お膳の隅 刻苧付け

破損箇所に刻苧漆を付けます。

これで大まかな凹凸は埋まります。

 

お膳の漆器修理
お膳の隅 刻苧付け二回目

刻苧が乾いたので磨いてみたら、破損箇所周辺の下地が剥離してしまう箇所がありました。以前の下地の強度に不安を感じたので、全体を磨いた後薄く刻苧を付けます。これで下地の強度は安心です。


お膳の漆器修理
お膳の隅 下地付け

刻苧漆を磨いた後、下地漆を付けます。

刻苧漆を付ける時もそうでしたが、お膳に下地漆をヘラで付けるのはとても手間が掛かります。

お膳は面が多いので何回にも分けて下地漆を付けなければいけない為です。

 

お膳の漆器修理
お膳の隅 めすり

下地漆を磨いた後、錆漆を全体に付けます。

下地漆と同じくとても手間が掛かります。

 

お膳の漆器修理
お膳の隅 中塗り

錆漆を地研ぎした後中塗りを行いました。

完成までもうひと頑張りです。

 

お膳の漆器修理
お膳の隅 上塗り

お膳の足

お膳の漆器修理
お膳の足 破損箇所

一か所だけ足の内側のたつぎという板が取れていました。

お膳などの足は破損し易いので補強の為にたつぎは必要です。

 

お膳のたつぎ
お膳のたつぎ

まず足の内側に合う様に木を削ります。

これを新しいたつぎにします。

 

お膳の漆器修理
お膳の足 たつぎ接着

刻苧漆でたつぎを接着します。

ちなみにたつぎは長めに作って刻苧が乾いた後、切断して長さを揃えます。

これで足の強度は安心です。

 

お膳の漆器修理
お膳の足 刻苧付け
お膳の漆器修理
お膳の足 下地付け
お膳の漆器修理
お膳の足 目摺り
お膳の漆器修理
お膳の足 中塗り
お膳の漆器修理
お膳の足 上塗り
お膳の漆器修理完了
お膳 修理完了

お膳の修理

お膳 修理前
お膳 修理前

お膳の隅

お膳の隅 破損箇所
お膳の隅 破損箇所

お膳の修理です。

依頼品は隅などに深い亀裂が見られます。この様な亀裂は木地の接合部から起きています。

今回は新品と変わらない様に全体を塗り直します。

 

お膳の隅 刻苧付け
お膳の隅 刻苧付け

まずは破損箇所を小刀で彫ります。

そこへ刻苧を付け、傷を埋めると左の写真の様になります。

しかし今回は傷が深い為、刻苧を付ける前に接着剤に木粉を混ぜたもので亀裂を埋めました。

この時の写真も載せれば良かったのですが、撮り忘れました申し訳ございません。

 

お膳の隅 錆付け
お膳の隅 錆付け

刻苧が乾いたら砥石やサンドペーパーで磨きます。そして錆漆を付け凹凸を埋めます。

 

お膳の隅 地研ぎ
お膳の隅 地研ぎ

そして錆漆が乾いたら、全体を水研ぎします。

しかし錆漆を一回付けた段階ではまだ凹凸がまだ残っていました。

綺麗に凹凸が無くなるまで、錆付けと水研ぎを繰り返します。

 

お膳の隅 中塗り
お膳の隅 中塗り

錆漆を水研ぎした後、中塗りをします。

これは錆漆を中塗り漆で固める為に行います

お膳の隅 上塗り
お膳の隅 上塗り

中塗りが乾いたら水研ぎし、上塗りを行います。

上塗りを時間をかけゆっくりと乾かしたら修理完了です。

 

お膳の足の周り

お膳の足の周り 破損箇所
お膳の足の周り 破損箇所
お膳の足の周り 刻苧付け
お膳の足の周り 刻苧付け
お膳の足の周り 錆付け
お膳の足の周り 錆付け
お膳の足の周り 地研ぎ
お膳の足の周り 地研ぎ
お膳の足の周り 中塗り
お膳の足の周り 中塗り
お膳の足の周り 上塗り
お膳の足の周り 上塗り

今回の修理では、修理前と修理後の朱と黒の塗り分けるの場所が違います。

これは「輪島の塗り方でお任せします。」との事でしたのでこの様に仕上げました。

 

 

お膳 修理完了
お膳 修理完了

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前田最嗣(アツシ)
前田最嗣(アツシ)

輪島塗だけでなく他の産地の漆器も修理できます。

普段は主に下地の仕事をしている四代目です。

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